店舗を増やす落とし穴
店舗を増やすには、それに合わせた準備が絶対に必要です。
準備不足、認識の甘さの結果として、すべての店がダメになりることがあるのです。
今回は、店舗を増やした失敗事例をお話しします。
A社は、複数の事業を営む会社です。今回、初めて飲食店の経営に乗り出しました。
複数の店舗を運営することを目標にしていましたので、初めから2店舗のオープンの話が進んでいました。
数ヶ月後、都心に1号店をオープンします。
この時は、社員が2名いますから、初めての飲食業ですが苦労しながらも運営は順調でした。
そして、3ヶ月後には、移動時間が30分ほどの場所に、2号店がオープンです。
2号店には、1号店の副店長が店長として着任し、それぞれの店舗に店長がいる状態になりました。
2店舗の収支が、よくありませんでした。2店舗とも赤字です。
売上は良かったのですが、オープンして間がないことで経費管理が甘かったのです。
定期的にミーティングを開催し、売上や経費管理を続けていました。ゆっくりでしたが、改善は見られました。
そして、2号は黒字に転換します、1号店は、まだ赤字ですが改善が見られまいた。
これから、基盤を固めていく大切な時でした。
そのような時に、3号店の話が浮上してきました
それも、都心ではなく、移動時間が2時間近くにかかる場所にです。
その物件は、地元で店舗を運営するオーナー達が断った物件でした。
希望者がいないので、A社に話が回ってきたのです。
意見を求められて、やらないほうが良いと進言しましたが、3号店の出店の話が進んでいきました。
それなら、人員の準備を早くして欲しいと言いましたが、社員の雇用は上手く進みませんでした。
準備不足のまま、オープンが近づいてきまいた。
オープン当初は、1号店の店長が3号店と兼任し、1号店のフォローを2号店に店長がすることでしのいだのです。
でも、1号店の店長は、毎日のように店舗を往復していました。
その後、社員を雇用ができて3号店は任せましたが、1号店の体制も店長はボロボロになっていました。
店舗を複数あるメリットは、「ヒト・モノ・カネ」を連動させることです。
例えば、人員不足の店に、余裕のある店舗から応援を出す等のサポートをすることが可能になります。
しかし、A社は、3号店の他の店舗との距離がネックになり、社員同士のコミュニケーションも希薄になり、店舗運営の連動性ができなくなりました。
事業責任者の方は、バラバラになっていた店舗(社員)に苦労されていました。
飲食事業の赤字を本業の利益で補填している状態が続きました。
それでも、本業の業績がよければ良いのですが、A社の業績自体が悪くなってきてしまいました。
そして、A社は、飲食事業からの撤退を決定しました。
すべての店舗を売りに出しました。
幸いなことに、すべての店舗に買い手が見つかりましたが、A社は会社自体を縮小させて、移転することになりました。
オーナー店長が、一人でやるにしても、会社の事業部としてやるにしても、準備が必要です。また、増えてからの店舗の連動性も考える必要があります。
次回は、深刻な人手不足についてお話しします。
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