立地選びの失敗事例〜任せっきりにしたら
店舗物件の開発担当者は、プロですから経験も知識も豊富です。
しかし、すべての店舗を当たり立地でオープンさせることは不可能です。
取り返しの付かない失敗をしてしまうこともありますから、物件は自らが納得しているのかが、本当に大切です。
後から変えることができないですから、自分でしっかりと調査して考えてください。
私が、経験した立地での失敗のお話をします。
新規のオーナーでした。全くの別業界で事業をされていて、飲食店を始めることにしたのです。
住まいと事業の拠点は遠く離れた地方都市でしたが、出店都内にしたのです。
物件担当者とは、電話とメールでは話を進めていたそうです。
契約の締結の時には、都内にきますが、開発担当者に任せっきりのようでした。
立地は、都心のターミナル駅から徒歩10分ほど。
大通りの裏にあたり、3階建の商業ビルの1階。
店頭の通りには、学生さんが多く行き交っています。
有名私立大学のキャンパスや式場などが近くにあり、また、周辺にはビジネスビルも多くの立ち並んでいます。
この説明ですと、良さそうに感じるかのしれませんね。
では、この店舗は、どうなったのでしょうか。
なんと、オープンして半年で閉店しました。
当初の売上予測の半分しか売れなかったのです。
オーナーの損失は、投資した額と赤字で2千万円を超えていました。
オーナーは、こんなことを私に言いました。
「自分も悪かった。他人任せで、進めていたから。でも、高い授業料だよね。」
このオーナーは、自分の責任として、フランチャイズ本部への言葉は飲み込んでいました。
でも、言いたいことは伝わってきました。
この店舗の立地を検証すると、学生立地が災いになていました。
私は、店長の経験などから学生立地は非常に難しいと思っていました。
この店舗は、学生立地の典型例です。
店舗の前の通りは、時間帯によって大量の学生が通ります。それも、その流れに逆らって通ることが不可能なほどです。
ですから、周辺の人たちは、基本的にこの通りを歩きません。学生が通る時間に当たったら大変だからです。だから、普段は静かな通りなのでした。
それでは、学生が来店してくれれば良いのではと思うでしょう。しかし、学生はターゲット層ではありませんでしたので、来店はどんどん減っていきました。
駅の周辺には、学生向けの飲食店も多くありますし、校内には学食もあります。
学生をメインに集客するのは、難しいのです。
ただし、大学の校内ですと話が違ってきますが、このお話は、また別の機会に。
以前に、お話ししましたが、フランチャイズのスーパーバイザーはオープンが決まってから登場します。
ほとんどは、オープンが決まってから、物件を見ることが多かったです。
何度も、「なんで、この物件でOKしたんだ!」と思ったことがあります。
物件で失敗するオーナーは、プロだと信用し過ぎている人だと思います。
商品やブランドを愛していることは大切ですが、それだけでは失敗します。
ビジネスとして、悪く言えば金儲けを優先していても、上手くはいきません。
このバランス感覚が、良いオーナーが業績を上げていきます。
それでは、次回は、店舗を増やしすぎて失敗したお話です。
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