その行動は、ほんとうに「お客様のため」?
飲食店のお客様の中には、決まった時間に来店して、いつもの注文をして、いつもの席に座って、いつものように過ごされる方がいらっしゃいます。
ビジネス立地の朝の時間帯に、多いタイプの常連のお客様です。
こんなことがありました。
そのお客様は、初老の男性で、毎朝決められた時間に来店されて、いつもホットコーヒーを注文されます。
それ以外の注文はありません、そして従業員との他愛のない会話をしてから、いつの席に向かいます。
毎日のように顔を合わせますから、そのお客様様が来店されるとホットコーヒーの準備を始めたりする様になりました。
お客様にとっては、朝の貴重な時間ですし決まり切ったマニュアルのトークよりも、注文が分かっているのだから良いサービスをしていると思っていました。
そんなある日、いつもの時間に、そのお客様は来店されました。
私が、カウンターにいましたので、いつものホットコーヒーを準備してお出ししました。
すると、お客様が苦笑いしながら言いました。
「店長、いつも、ありがとう。でも、今年の夏は暑いから、さすがにアイスコーヒーにしたんだよ。」
「すみません、すぐに交換します。」
「いいんだよ、今日は。明日からは、アイスコーヒーにしてね。」
最後は、笑顔でした。
私は、お客様のためになると思っていましたが、実は自分のために行動していたのです。
いいサービスしてると思っていたのかもしれません。
その年の夏は、猛暑でした。
いつも、ホットコーヒーを注文されていても、これからもずっと変わらない訳ではないのです。
お客様のとの日々の会話で、分かったかもしれません。
サービス業では、お客様のためになることを考えて行動するようにと教育されます。
注意しないと、「お客様のため」と思って行動しているつもりで、店側からの視点から考えて行動していることもあります。
その行動は、ほんとうに「お客様のため」になっていますか?
「お客様の立場」から考えても「お客様のため」になっていますか?
油断すると、「お客様のため」が「自分たちのため」になっていることがあります。
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